日本の歴史を、縄文時代までさかのぼって考えてみることにします。
古代、縄文人は円形を好み、縄文土器は円を基調とした文様が多いのだそうです。
そういった円形を好み縄文人の発想を「円環状世界観」と呼び、その思考を円環状思想と言います。
その要諦は、「自然界には区切りがなく、自然界ではすべてのものが互いに深くつながって存在している。」というものです。
(出典:日本人なら知っておきたい日本 武光誠著)
そのような縄文人の思想を、「精霊崇拝をふまえた『円の思想』」と呼び、大和朝廷のもとで、この円の思想は、神道へと発展した、と言っています。
つまり、八百万の神々という考え方は、日本人のルーツのひとつであり、その原点の思想を「円の思想」と考えてよい、ということなのだと思います。
円の思想は、人間と自然にも境目はなく、自己と他者にも、善人にも悪人にも境目はない、という思想です。
すべてとはいかなくても、相手を尊重し多くを受け容れて生きていこうとします。
それはつまり、多様な文化を受け容れて発展させる日本人の豊かさを創り出したのです。
武士道は、円の発想から発展した神道に、その後日本に導入された仏教や儒教のすべての影響を受けています。
元来は、戦いを生業とした戦士であった武士が、日本を統治するリーダーとなり、多く日本人の支持を受け国を治めていく過程で、日本人にあったリーダーシップやリーダー学を編み出していきました。
ですから武士道は、武士という日本のリーダーにとっての規範であり、統治のための規範ですから、700年もの時を通じて、日本人に浸透していったのだ、と考えることができるのです。
現代に伝わっている武士道は、そういう性質をもった思想の束であり、生きる規範なのです。
日本人に合った考え方が、長い時間を経て、日本人に浸透していったのですから、現代日本人の根本に、武士道があるといえるのです。
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